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インターナショナルスクールで文化の多様性は重要か?

    インターナショナル・スクールを選ぶ際に考慮する点の一つに、生徒と先生達の多様性があると思います。都内の学校を訪問している中で、スタッフの多様性は非常に高いものの生徒の多様性はそれほどでもない学校もいくつかありました。しかし、それは重要でしょうか。文化的多様性のメリットが誇張されすぎていないでしょうか。

    文化とは?

    文化は人生においてとても重要な役割を担います。それは私たちを形作るものであり、私たちの言語、服装、信念や価値観、伝統や祝祭などが含まれます。文化は、私たちの行動や考え方、世界に対する知識や理解に影響を与えます。文化は、私たちが国際社会の中での立ち位置を決める自己アイデンティティを育んでくれます。

    文化的に多様であるとはどういうことか?

    文化的多様性とは、集団の中での様々な民族的・文化的背景のことであり、しばしば多文化主義とも呼ばびます。文化的多様性あるいは多文化的環境では、さまざまな文化的背景がありすべての人が平等に扱われます。相違点と類似点を肯定的に捉え、他の文化が提供するものに価値が与えられる。他者は異なる視点や考え方があることを知り、自分の中の潜在的な文化的偏見を振り返るよう求められます。

    文化の多様性はなぜ有益なのか?

    今、私たちが住んでいる世界は流動的で、学校や職場はますます異なる国籍、文化、民族的背景のるつぼと化しています。そのため、多様な人々と協同し仕事をする方法を理解することは非常に重要です。文化的に多様な環境に身を置くことは、異なる視点を大切にし信頼と理解を築くのに役立ちます。異文化から学んだり普通ではできないような経験をすることもできます。これらはすべて、国際教育の基本的な柱である国際感覚を養うための重要な側面です。

    学校における文化の多様性

    一見、多様な生徒がいることは良い事のように思えます。生徒は、日常の交流から文化的理解を深めることができますし、多様な経験や知識が身近にあります。よって、国際感覚を身につけることができるように思えます。しかし、交流や経験の質に大きく影響を受けるため、多様な環境が国際感覚を育てると考えるのは問題がある。特に低学年の生徒の場合、真に理解できていないことが多く誤解を生んでしまうこともあります。このような場合、大人が理解を再構築し深める必要があります。

    多様なスタッフや職員がいることも強みとなります。しかし、これもまた、自分たちの文化や経験を分かち合い、他国の文化に関心を示そうとするコミュニティの姿勢にかかっています。彼らが国際的な考え方を示して初めて、生徒が国際感覚を身につけるというることができます。

    文化的多様でないことは学校にとって何を意味するのでしょうか?

    本当にこれは各学校とその学校が国際的なマインドを重視するかどうかによります。多様な生徒がいないからその学校が国際的なマインドを効果的に育めないわけではありません。すでに述べたように、多様な生徒が集まる学校では国際感覚を育てる上で生徒同士の交流に頼りすぎてしまい、それが最良の結果をもたらさないことが多いです。また、身につけ方が異なるだけで、単一文化の学校もとても国際的になりうるとも大変多く書かれています。多様な生徒が在籍する学校では、自然に生まれる異文化理解がより重視されるのに対し、そういった単一文化の学校では、よりグローバルな関わりを持ち、経験や学習が自発的ではなく計画的に行われる傾向にあります。

    加えて、すべてではないですが、インターナショナルスクールに子供を通わせている家庭のほとんどは、国際感覚という考えをすでに「取り入れて」います。皆様、世界がより流動的になり、将来、本当に多くの面で国境のない世界がやってくることを理解しています。保護者達は子供にその準備をさせたいと考えており、もう既に自分たちの生活に取り入れだしています。それは旅行を通じだったり、地元の多文化イベントに参加したり、世界的なニュースについて家族で話し合ったりすることです。

    もうひとつの要因は、生徒の国籍が特に多様でなくても、私たちが東京のインターナショナルスクールを訪問した際に見た限りでは、教師のコミュニティが多様という事です。一般的に、教師は世界中から来ていて、アメリカ、イギリス、オーストラリア、カナダ、日本、インド、フィリピンの出身者が大きな割合を占めている。多くの教師は、他の国や文化圏で働いた経歴を持つ「国際的」な教師です。教師の多くは国際的な知識と経験を身につけていて、それは自然と交流や指導に現れます。 とはいえ、多文化を受け入れる姿勢を示す必要はあります。

    最後に

    インターナショナルスクールでは、国際感覚を育む上で生徒も教師も多様であることが有利であることは間違いありません。自然で自発的な異文化理解が得られます。しかし、生徒に多様性が無くても国際教育の基準を満たすことができますが、それは学校に大きく左右されます。学校のビジョンやミッションを読んだり、学校見学をしたときに、国際的な考え方を身につけるための計画的な取り組みが確認できたでしょうか?もし確認できなかったとしたら、その学校は多様性の面で問題があり国際教育の重要な目的のひとつを果たしていない可能性があります。

    一方、成功している学校は、生徒や教師の多様性だけに頼るのではなく、教育や学習、学校の価値観、学校が表明していること、学校コミュニティの包摂などに見られる体系的なアプローチと組み合わせています。

    次のブログでは…

    国際教育と国際感覚を身につける上で重要なことのひとつが語学学習です。次回のブログでは、インターナショナルスクールにおける語学学習についてご紹介します。

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